コラム
アスベスト調査を短期間で終えるには?「みなし含有」のメリットと潜むリスク
アスベスト含有建材のみなし判断は良いのか?
2020年の石綿障害予防規則と大気汚染防止法の改正により、2023年10月からは一定規模以上の建築物を解体・改修する際、事前に建材のアスベスト調査を行い、その結果を報告することが義務化されました。
この調査では、建材のアスベスト含有の有無を判定します。アスベストを「含有無し」とするには、分析結果やメーカーによる不含有証明といった明確な根拠が必要です。一方、「含有あり」と判断する場合は、分析を行わずに“みなす”ことが認められています。
みなし判断のメリットと落とし穴
“みなし含有”は、分析やメーカー確認が不要なため、調査を短期間で、かつ調査を低コストで終えられるという利点があります。しかし、含有建材として解体工事を進めることになるため、工期の延長や解体費用の大幅増につながるリスクがあります。場合によっては、事前調査費用の何倍ものコストが発生するのです。

実際にあったケース
弊社が担当した事前調査で、施主から「レベル3建材をすべてみなし含有として扱ってほしい」との依頼がありました。調査員は解体費用の増大リスクを説明しましたが、施主の強い希望でレベル3建材をすべて“みなし”で報告しました。その結果、解体業者の積算費用は予算を大きく超過してしまいました。
最終的に弊社が、建材毎の施工面積や除去コストを踏まえた再調査を提案し、実施したことで、費用は予算内に収まりましたが、工期は予定より延びることとなりました。
適切な判断の重要性
“みなし含有”は法律上認められた方法ですが、すべてに適用すればよいわけではありません。建材の種類や含有可能性、施工面積、除去費用といった条件を慎重に見極めたうえで判断することが、解体工事をスムーズかつ適正コストで進めるために不可欠です。
