コラム
分析業界の“DK化”に向けて 〜AI・DXの波をどう捉えるか〜
11月と12月、日本環境測定分析協会の会合に参加しました。会場には分析機器メーカーやソフトウェア企業のブースも並び、PFASなど新しい規制に向けた技術提案や、自動化・小型化に関するソリューションが注目を集めていました。
また、懇親会では多くの分析事例や研究動向を共有いただき、業界の活発さを改めて感じました。
しかし一方で、分析ラボにおける AI・DX(デジタルトランスフォーメーション)活用は、まだ十分とは言えません。
日本の人口減少が進む中、どの産業においても省力化や効率向上に向けたデジタル化は避けられませんが、分析業界には「分析は職人の技」という考えが根強く、最新技術の導入に慎重な傾向も見られます。
当社では、分析指示や報告書の確認・承認をすべてデジタル化し、ペーパーレス化を実現しています。また一部業務では、分析工程の全記録をタブレットにて入力・保管しています。しかし、分析マニュアルやすべての工程記録の電子化など、まだ取り組むべき課題が残っています。
先日、近隣の電子機器メーカーの方と意見交換した際、製造ラインの検査工程にウェアラブルグラスの導入を検討していると伺いました。視界にマニュアル表示を行いながら、カメラ画像で検査し、記録を自動作成する仕組みです。分析とは異なる業種ですが、このような最新技術の活用事例は、非常に多くのヒントを与えてくれます。
業界内の交流から学べることはもちろんありますが、異業種との情報交換は、さらに多くの刺激とアイデアをもたらしてくれます。
当社は、分析の専門性を守りながら、デジタル技術を積極的に取り入れ、これからの時代に求められる“DK(デジタル化+効率化)”を進めてまいります。
